みなさん、こんにちは。なべです。今回はTypeScriptベースのAPIフレームワーク「tRPC」について解説していきます。
ライブラリ名
tRPCは、TypeScriptを使用したフルスタック開発のためのAPIフレームワークです。
概要
tRPCは、フロントエンドとバックエンド間の通信を型安全に実現するためのフレームワークです。従来のREST APIやGraphQLと異なり、APIの型定義を自動的に共有できる特徴があります。
このフレームワークの主な特徴は以下の通りです:
- エンドポイントの型が自動的に推論される
- クライアント側でAPIの型補完が効く
- 設定が少なく、すぐに始められる
- バンドルサイズが小さい
Next.jsやPrismaなどの現代的なツールとの相性が良く、特にTypeScriptを使用したプロジェクトで真価を発揮します。APIの型定義やスキーマ設計の手間を大幅に削減できるため、開発効率の向上が期待できます。
向いているユーザー層
tRPCは以下のような方に特に向いています。
こんな人に | 理由 |
---|---|
TypeScriptで開発している方 | 型安全性を最大限活用でき、開発効率が上がります |
フルスタック開発者 | フロントエンドとバックエンドを統一的に管理できます |
小〜中規模のプロジェクトを担当する方 | セットアップが容易で、学習コストが低いです |
APIの型安全性を重視する方 | エンドポイント間の型の整合性が自動的に保証されます |
モノレポ構成で開発している方 | 共通の型定義やロジックを効率的に共有できます |
活用方法と応用例
tRPCを使用することで、以下のような実装が可能です:
- リアルタイム通信の実装
- WebSocketを使用したライブデータ更新
- サーバーからクライアントへのプッシュ通知
- ミドルウェアの活用
- 認証・認可の一元管理
- リクエストのバリデーション
- エラーハンドリングの統一
- バッチ処理の最適化
- 複数のプロシージャを一度に呼び出し
- データの一括取得や更新
- カスタムフック作成
- React向けの専用フックの実装
- キャッシュ制御の統一管理
- テスト自動化
- 型定義を利用した自動テスト生成
- エンドポイントの統合テスト 主な代替サービスとの比較は以下の通りです:
サービス名 | 特徴 | tRPCとの比較 |
---|---|---|
GraphQL | スキーマ定義が必要 柔軟なデータ取得 大規模向け |
より複雑な設定が必要 学習コストが高い |
REST API | 広く普及 シンプルな設計 標準的 |
型安全性が低い ボイラープレートが多い |
gRPC | 高いパフォーマンス IDL必要 マイクロサービス向け |
設定が複雑 ブラウザサポート制限あり |
API Routes (Next.js) | シンプル 統合が容易 Next.js限定 |
型安全性が低い 機能が限定的 |
セットアップとインストール
tRPCのインストール方法
tRPCをプロジェクトに導入する方法をご説明します。
基本的なインストール
npm install @trpc/server @trpc/client @trpc/react-query
Next.jsプロジェクトでの設定
- APIハンドラーの作成(pages/api/trpc/[trpc].ts):
import * as trpcNext from '@trpc/server/adapters/next';
import { router } from '../../../server/router';
export default trpcNext.createNextApiHandler({ router });
- クライアント設定(_app.tsx):
import { withTRPC } from '@trpc/next';
function MyApp({ Component, pageProps }) {return <Component {...pageProps} />;}
export default withTRPC({config: () => ({url: '/api/trpc',}),})(MyApp);
ローカルでの実行
- 開発サーバーの起動:
npm run dev
- ブラウザで確認:
http://localhost:3000
にアクセスして動作確認ができます。
参考リンク
公式リンク集
- GitHub: https://github.com/trpc/trpc
- NPM: https://www.npmjs.com/package/@trpc/server
- 公式ドキュメント: https://trpc.io/docs
- 公式サンプル: https://github.com/trpc/examples-next-prisma-starter
まとめ
tRPCは、TypeScriptのプロジェクトにおいて、クライアントとサーバー間の型安全な通信を実現する強力なツールです。設定が比較的シンプルで、Next.jsとの相性も良く、開発効率を大きく向上させることができます。
特に以下の点が魅力です:
- 型の自動推論による開発時のエラー防止
- エンドポイントの自動補完機能
- バンドルサイズの最適化
型安全なAPIを構築したい場合は、tRPCの導入を検討してみることをお勧めします。